事実の証明

心残りのまま永眠した 神谷 力 氏の手記。 トリカブト事件を冤罪と断定し、 判決の矛盾を鋭く指摘する。
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 事実の証明-6  (2013/01/06(日) 07:18:30)
 事実の証明-6

トリカブト中毒の発症と個人差 

 利佐子が両毒入りのカプセルを服用して発症するまで二時間以上経過したとす
ることに、トリカブト中毒の発症に至るまでの個人差がなにか大きく影響しているの
だろうか。この問題を明らかにするために、トリカブト中毒の発症に至るまでの個人差
について、さきに挙げた五つの症例を参考にして検討してみる。ただし、発症後の個
人差については、治療行為が各症例によってまちまちなので問題として取り上げるこ
とはしていない。

 発症までの個人差を検討する場合は、二つの要因に分ける必要がある。第一の要
因は、吸収能力など本来の体質的な個人差で、胃の消化能力、小腸の吸収能力が
良いか悪いか、吸収後の血中濃度の上昇と、薬理作用を及ぼす器官・組織への薬物
の結び付きの間とでもいえるタイムラグの個人差、発症に至る閾値の個人差などだ
が、健康状態も影響を与える。第二の要因は、消化の早い抽出エキスや粉末の摂取
か、消化の遅い葉や茎の摂取か、という摂取の形態や、空腹状態か、満腹状態か、
という摂取時の胃の状態だ。この第二の要因は、個人差というよりは摂取時の条件と
いえるが、一応個人差として扱う。発症までの個人差を検討する場合、この二つの要
因を明確に分けて検討する必要がある。

 トリカブト中毒の摂取から吸収による発症までの経過時間の個人差は、本来の体
質的な要因による個人差は小さく、摂取の形態や摂取時の胃の状態による個人差が
主な要因であることは明らかといえる。
以上から利佐子がトリカブト中毒と仮定すると、やはり本来の体質的な要因による
個人差は小さく、発症までの経過時間は、摂取の形態や摂取時の胃の状態による個
人差が主な要因といえる。よって利佐子は、空腹時に、消化の必要のない抽出エキ
スを服用したとされるから、カプセルが溶解してから発症するまでの時間は、症例2の
二名と同等かそれより早いと思われる。しかし、症例2の二名の五分間は、二名の症
状の出現の仕方を比較してみると、タイムラグなどが影響して、トリカブト中毒の発症
時間の最短時間と考えられるので、利佐子は、カプセルが溶解してから発症まで、五
分が経過すると見るのが順当だ。

 判決は、利佐子がカプセルを三重にして服用したと示唆するから、カプセルの溶
解時聞が一O分程度と推定すると、右の五分と合わせて、カプセルを服用してから
発症するまで一五分程度ということになり、それよりも五分や一O分延長したとして
も、とても二時間には及ばない。それでは、判決が推認するように、トリカブト毒とフ
グ毒の措抗作用が影響しているというのだろうか? その点を次に検討してみよう。

 両毒の投与比率で拮抗作用は変わる 

トリカブト毒とフグ毒を、一個のカプセルに詰めて利佐子に服用させる。私はこの
意味を考え抜いた。しかし、なぜそうするのかわからない。なにかを期待してやみく
もにフグ毒を詰めた?そんなことはありえない。フグ中毒がどれほど重症であろうと
呼吸を確保すれば死に至らないことは、料理の実習書を読んで私は充分に理解し
ていたし、そのことをクサフグを購入するとき、M氏などにも話している。さらに、フグ
中毒の場合、摂取してから数時間経過してから呼吸停止になることも料理の実習
書を読んでわかっていた。利佐子が発症すれば、すぐに治療が行なわれるだろ
うから呼吸の確保は容易なことだ。利佐子を殺害する目的で、トリカブト毒と一緒に
フグ毒をカプセルに詰める意味はない。

 それでは、両毒に拮抗作用があり発症時聞が延長することを私が知っていて、
両毒をカプセルに一緒に詰めたというのだろうか。発症時聞が延長することを、どう
して知りえたのか?その方法はない。判決は、マウスを使用しても、なつ江を利用し
ても、私が両毒の桔抗作用の実験を行なったとは認定できなかった。判決の認定
は別として、私は次のことを考えてみた。

 マウスで実験をして、トリカブト中毒の発症時間の延長を知る実験器具もない
素人の私が、不可能なことだ。共同鑑定書を提出したO教授は、両毒の純品を
ミクロ天秤などの精密器具を使って正確に定量し、両毒の投与の量をそれぞれ選び、
幾つものケースに組み合わせて実験して結果を得ているのだ。それも発症時間の
実験結果ではない。生存時間の実験結果なのだ。仮に、私の手元に両毒の抽出
物質があったとしても、その毒量を定量する方法はない。両毒を一緒にむやみに
投与しても、どちらの毒でマウスが死んだかさえわからない。O教授は、両毒の一
つの組み合わせだけでも四O匹のマウスを使用し比較して結果を得ている。私が
塩分摂取過多の実験のために購入したマウスは五O匹だ。このマウスを全部両毒
の拮抗作用に使用したとしても、両毒を幾つのケースに組み合わせて実験できる
だろうか。せいぜい五つの組み合わせ実験ができる程度だ。もう一度言うが、私に
は毒量を定量する方法がない。その組み合わせが妥当なものかさえわからない。

 万が一、幸運にも両毒を一緒に投与して生存時間の延長が確認できたとしたら、
素人の私は、発症時間の延長に気がつくどころか、死亡までの時聞が延びたの
だから、どちらかの毒が、どちらかの毒を減毒したと考える。カプセルに詰められる
毒量は限られている。利佐子を殺害する目的なら、できるだけ多くの毒量をカプセ
ルに詰めたい。もちろん、私はフグ毒でヒトを殺せないことは知っているから、トリカ
ブト毒の話だ。当然、カプセルにフグ毒を詰めるのはやめるだろう。

 それでも、私はしつこく自らに問いかける。マウスの実験で、私が発症時間の延
長に気がつく方法はないだろうか? それは無理だ。専門家のO教授でさえ、一九
九三年二月ころから六カ月ほどの期間をかけて、両毒の投与比率を変えて何回か
実験しているが、それでも発症時間の延長は確認しておらず、生存時間の延長か
ら発症時間の延長を推定しているにすぎない。口の利けないマウスの発症を確認
することは、専門家でも困難だと証言されている。まして、素人の私がマウスの発
症を確認することはできず、発症時間の延長に気がつくはずはないのだ。

 それでは、参考文献から知りえたのではないか? それは、さらに不可能だ。第
二回公判で検察官は琉球大学のO助教授に、両毒の桔抗作用について記載した
参考図書の存在を執劫に問いただすが、明確な答えがなく、結局、一般に入手で
きない文献名を挙げるにとどまる。まして、発症時聞が延長する両毒の投与比率
で拮抗作用は変わるなどと記載した文献は一切ないのだ。私が発症時間の延長を、
参考文献から知りえた可能性はない。

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