事実の証明

心残りのまま永眠した 神谷 力 氏の手記。 トリカブト事件を冤罪と断定し、 判決の矛盾を鋭く指摘する。
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全文-43 (2013/03/12(火) 00:54:49)
2012.06.11

 全文-43
 
 この採血の時点の血中濃度を参考として、トリカブト毒の血中濃度時間曲線の
動態を、東北大学二教授の証言を考慮しながら、実際を明らかにするために、図3
を利用して検討します。
 
43-1 引用 P294
 
トリカブト毒のグラフに描かれる血中濃度時間曲線について、血中濃度を縦軸
(Y軸)、時間の経過を横軸(X軸)で表示した場合、O教授は、「ある程度まで急に上
昇し、ある程度からだんだん下がっていくような、上に膨らみを持つ曲線になる」と
証言し、S教授は、「西洋の釣鐘のような形で、左右対称ではなくて、吸収のほう
が非常に上がっていき、ある時間はゼロで、それからなだらかに下がっていく」 と
証言している。

グラフ 
 画像クリックで拡大します 

 図3の0点を服用した午前七時、a点を午前九時、最高血中濃度(曲線の山の
頂上) を不整脈が現れた午前八時二〇分、b点を血中濃度四ng/mlとして検討す
ると、最高血中濃度が五ng/ml(bの四分の一をbに重ねる) を越えた場合、最高
血中濃度から下降する曲線は、上昇の時の曲線と同じように急で、なだらかには
下がりません。
 
43-2 引用 P287

 
よって、この男性の血中濃度は五ng/ml以上には上昇しておらず、当然、発症
時の血中濃度は五ng/ml以下ということになります。
なおS教授は、「採決後も血中濃度の上昇は続いていたと考えられる」 と証言して
いますが、それが正しいとすれば採血以前の血中濃度は四ng/ml以下ということ
になり、発症時の血中濃度はさらに低くなります。どちらにしても、この男性の場合
、一〇ng/mlまで、血中濃度が到達しているということはありえません。

 「症例4の女性」 は、発症の時刻が明らかにされていません。M教授はこの女
性の血中濃度を「三十から四十ng/mlぐらいだった」 と証言しています。これは血
液吸着療法中に採血した血液の血中濃度と解されますが、それまでに不整脈や
心肺停止を数回繰り返して、血液吸着療法開始後二〇分ころより回復に向かうこ
とから、血液吸着療法を行うまでは、血中濃度は上昇していたと考えられます。そ
うすると、血液吸着療法中の血中濃度が三十ないし四十ng/mlであるので、摂取
五分後の血中濃度は三十ng/ml近辺まで上昇していたと推定できます。それで
は、摂取五分後の血中濃度を三十ng/mlと推定して発症時の血中濃度を検討して
みます。この女性の場合は、図1を利用して、図1のa点から五五分後の午前一二
時五五分、b点の血中濃度を三十ng/mlと設定します。
 
43-3 引用 P286

 吸収開始から発症までの経過時間xが問題となります。この女性は、摂取から
三五分後には末期の症状が出現していますが、この時間の経過に伴う症状の出
現のあり方は、症例2の男性とその娘に極めて似ています。このことから、この女
性も摂取から五分程度で発症していると推定しても、それほど相違しないと思いま
す。その場合の血中濃度を計算してみます。計算式 ay=bx のaに五五分、bに三
〇ng/ml、xに五分を代入して計算すると、yは約三ng/mlとなり、これを曲線に還
元すると四ng/mlくらいとなります。ただしこの場合、胃内容排出時間は瞬間的と
仮定してxは五分としていますが、胃内容排出時間が二分かかったとするとxは三
分となり、yは約二ng/mlとなります。
また、胃内容排出時間が瞬間的と仮定して、この女性の摂取から発症までの経
過時間が症例2の二名の二倍もかかり、xが一〇分になったとしても、発症時の血
中濃度yは八ng/mlとなります。発症時間が一〇分を越えることは、この女性の症
状の出現のあり方を症例2の二名と比較すれば考えられることではありません。よ
って、この女性は血中濃度が一〇ng/mlに上昇する以前に発症していることは確
実に言えることです。

 「症例5の八名」 は発症後に受診し、その受診前に全員から採血した血液のト
リカブト毒の血中濃度が測定されています。
この測定結果についてのM教授の証言は、もうひとつはっきりしません。「その
日か翌日の血液の濃度を調べると」 との証言は、共同鑑定書参考資料5に、「受
診時に採取」 と記載されていますから、「その日」 であることは間違いありません
また、「トータルで一ng/ml程度あり」 との証言は、もっとも症状の重かった二名
のことなのか、八名全員のことなのか、はっきりしませんが、「トータルで」 と言って
いることから八名全員と理解するのが順当で、八名全員の血中濃度が一ng/ml程
度と判断して間違いありません。
 八名全員、受診時に採血したと参考資料に5に記載されていますが、その受診
時について、二名以外は摂取からの経過時間は「症例5」 にも記載されておらず
発症時の血中濃度を算出する手がかりはありませんが、採血の時に血中濃度が
上昇中であればもちろんのこと、下降中であっても、症例3の男性のところで説明し
たように、S教授の証言から血中濃度が急激に下降しているとは考えられず、発症
時の血中濃度は八名全員が一ng/ml程度、またはそれ以下と推定して矛盾はあり
ません。まして、発症時の血中濃度が五ng/mlまで上昇していた、などということは
ありえません。
 この症例5について注目すべきことは、八名全員が血中濃度一ng/ml程度で発
症していることです。トリカブト中毒においては、この程度の低濃度で発症すること
を如実に示しており、本来の体質的な個人差はあまりないことが明らかだと言えま
す。また、摂取から発症までの経過時間の相違は、主に、抽出エキスなのか、山菜
と誤認した葉の摂取なのか、などの摂取の形態や、空腹か満腹かという胃の状態
に起因することを明確に示しています。
 
ここで、「症例1の医師とその長男」 について説明しておきます。

 検察官は第二十八回公判におけるM教授との質疑応答で、「死戦期の不整脈
(心室性頻拍) が出現した長男より、何倍か多く摂取した医師は、致死量を超え
た服毒をしていたと考えられるのに冷汗や悪心、嘔吐の症状は摂取から四時間後
に出現している。」 と指摘した上で、「五つの症例を検討すると、非常に個人差が
大きい」 と結論づけ、M教授も同意します。この結論などは、本来の体質的な個
人差と、摂取の形態や胃の状態を、区分して検討することを怠り、この二つの要因
をごちゃまぜにし検討した結果といえます。
 第一、   医師が致死量を超えて服毒したという指摘が間違っています。長男に現
れた不整脈は心室性頻拍で、症例5の二名を検討すればわかるように、一ng/ml
程度の血中濃度で心室性頻拍は出現するのです。それに、症例5の二名は、嘔吐
や呼吸困難といった中期の症状が現れているのに、共同鑑定書参考資料1による
と、この長男には中期の症状は現れていません。症状は症例5の二名より軽いの
です。不整脈の回復も、この長男は症例5の二名とほぼ同じです。この長男の血
中濃度が、症例5の二名と同じ一ng/ml程度と推定して矛盾はありません。

 なお、症例5のトリカブト中毒の発症は、私が逮捕された約二年後の一九九三
年四月です。「症例5の二名の血中濃度は、一ng/ml程度であり、その程度で中毒
している」 とのM教授の証言は、一九


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この回で、神谷 力氏の再審請求の為の手記、
【事実の証明-1~6】及び【全文-1~43】を終わります。 
神谷氏によると主張の要旨は、【全文-38】 
を見ればわかりやすいとのことです。


(この回の文末が途切れてるのは、病に倒れた為)

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