事実の証明

心残りのまま永眠した 神谷 力 氏の手記。 トリカブト事件を冤罪と断定し、 判決の矛盾を鋭く指摘する。
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全文-41 (2013/03/04(月) 21:42:52)
 2012.06.04

 全文-41
 
 ただし、この証言で発症について触れていますが、私は発症については納得し
ていません。ここまでの説明は、フグ毒が心臓については、全く無害であることを前
提にしています。実際そのとおりですから、心臓疾患の発症である心電図異常の
現れ方における両毒の拮抗作用を論じたのです。しかし、フグ中毒は、他の症状に
ついてはトリカブト中毒と共通です。しびれ感、悪心、嘔吐、意識混濁、呼吸麻痺な
どはトリカブト中毒と共通した症状です。これらの症状に、両毒の拮抗作用がある
とすれば、当然、心臓の拮抗作用とはメカニズムが違うはずです。たとえば、フグ
毒を致死量以上、トリカブト毒の数倍同時に投与すれば、今度はハイの受容体へ
のフグ毒の結合で、呼吸麻痺で死亡することになります。トリカブト毒も肺について
は有毒ですから、心臓のような拮抗作用は現れません。このことは、しびれ感や嘔
吐など他の症状も同じだと思います。

 私は第一審で、O教授にこれらをしつこく質問しましたが、期待できる解答は得ら
れませんでした。それ以来、このことにこだわると話が進まなくなるので、やむを得
ず、「発症」 を「最初に自覚症状を訴えたとき」と厳密に規定して、O教授の証言を
取り入れ、発症についても両毒の拮抗作用について論じることにしました。
 マウスやラットを使用したO教授の実験では、両毒の投与比率をいろいろに変え
て投与し、フグ毒をトリカブト毒より少し多く投与して、生存時間が最大で約二倍に
延長したということに注目しなければなりません。両毒の受容体への結合という点
を考慮すれば、トリカブト毒とフグ毒の拮抗作用においては、両毒の投与比率をい
かに調整しても、親和性の問題から、生存時間が二倍を超えて延長することはあり
えませんし、同じ理由から、発症時間が二倍を超えて延長するということもありえな
いと言えます。このことは、〔第五の条件〕 を基にして、利佐子の死因を検討する
上で、非常に重要なことです。

 血中濃度の動態からみた両毒の拮抗作用の現実を考察した結果として、〔二つ
の時間〕 および〔第一の条件〕 から〔第五の条件〕 まで、両毒の拮抗作用が与
える影響について確認しておきます。
 両毒が共に存在してもカプセルの溶解時間や胃内容排出時間に変化はなく、両
毒の拮抗作用は〔二つの時間〕 に影響は与えません。グラフの描く曲線については、
両毒がそれぞれの受容体に結合するまでの過程では、両毒の拮抗作用の影響が現
れないことから、両毒を同時に摂取しても血中濃度の上昇のあり方には相互に影響を
及ぼすことはなく、〔第一の条件〕 第二の条件〕 で描く図1のグラフのトリカブト毒の
血中濃度時間曲線に、一切変化は及ぼさないということになります。また、発症の時刻
および心肺停止の時刻は事実として確定していますから、〔第二の条件〕 に両毒の
拮抗作用は影響を及ぼしません。
 なお、図1に、フグ毒の血中濃度時間曲線を描くとすれば、トリカブト毒の血中濃度
時間曲線の五分の一ほど下方に、上に膨らむ曲線として描くことができます。

〔第四の条件〕 は心肺停止時のトリカブト毒の血中濃度ですが、前項で説明し
たように、一二五.七ng/mlの測定値に「以上」 を付ける必要があります。フグ毒
は二六.四ng/mlと確定することができます。この26.4ng/mlは、心肺停止以前
に、最高血中濃度として現れたのではないかと、誤解する方も居るかもしれません
が、フグ毒は変換物質も含めて鑑定されていることから、心肺停止時の測定値二
六.四ng/ml「以上」 になることはありないのです。よって、フグ毒の血中濃度時間
曲線は、トリカブト毒の五分の一ほど下方になります。このフグ毒の血中濃度が、
五分の一程度で推移するということが問題となります。前項の例でいえば、トリカブト毒
の受容体への結合が五分後に四個なのに対して、フグ毒は血中濃度が低いため五分後
に一個結合するかしないか程度となり、あと1、2分も経過すると発症(実際は心電図異常
ですが、ここからは発症と表記します) してしまうことになります。このように、発症時間
の延長倍率は、一.二倍程度であり、このことが次の「血中濃度が事実を語る」 で説明する
〔第五の条件〕 に影響することになります。
 結論として、両毒の拮抗作用は,〔二つの時間〕 および〔第一の条件〕 から〔第
四の条件〕 までは一切影響を与えず、また〔第五の条件〕 として示している、、経
過時間に伴う血中濃度の値にも影響を及ぼさないことから、図1のグラフを検討す
る場合、両毒の拮抗作用については考慮する必要はありません。
 
 小麦粉を混合することによって、〔二つの時間〕 および〔第一の条件から〕 〔第四の条件〕
までに、なにか影響を与えるかということについて説明します。

 〔二つの時間〕については、小麦粉と混合してカプセルに詰めたからといってカプ
セルの熔解時間は変わりませんし、小麦粉は胃液にトリカブト毒と共に溶けるので、
胃内容排出時間は変わりません。
 〔第一の条件〕 〔第二の条件〕 は、図1のグラフの描く曲線の問題で、小麦粉
を混合したからといって上に膨らむ曲線が下に膨らむ曲線に変わることはありませ
んし、〔第三の条件〕 および〔第四の条件〕 は実際に鑑定している条件ですから、
小麦粉を混合しても変化することはありません。
 また〔第五の条件〕 は、両毒の拮抗作用のように、同時に摂取すると発症時の
血中濃度を押し上げる効果があるということですが、小麦粉と、トリカブト毒やフグ
毒とのあいだには、拮抗作用は一切ないことから、小麦粉を両毒と一緒に摂取して
も発症時の血中濃度を押し上げる効果はなく、〔第五の条件〕 は変わりません。
 では、小麦粉と混合すると、なにが変わるのでしょうか。共同鑑定書のように、水
飴状物質と小麦粉を一対一で混合した場合は、粉末状になるだけで、ほかはなん
ら変わりません。東京理科大学F教授の「小麦粉混合」 の鑑定の場合は、第四章
八「小麦粉の混合? それは影響ない」 で説明したように、テオフィリン対小麦粉
を一対一で混合すれば溶出性は悪くなるようですが、利佐子の場合摂取量は確定
できず不明であり、溶出性が悪くなる分、摂取量を増やせばいいだけで、小麦粉を
混合しても、図1の各条件には一切影響を与えず、図1はなんら変化することはあ
りません。

以上で、〔二つの時間〕 および〔第一の条件〕 から〔第四の条件〕 までの説明
を終わりますが、ここで経過時間に伴う血中濃度の値を計算する方法を示しておき
ます。




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