事実の証明

心残りのまま永眠した 神谷 力 氏の手記。 トリカブト事件を冤罪と断定し、 判決の矛盾を鋭く指摘する。
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全文-30 (2013/02/17(日) 08:59:41)
2012.03.27

 全文-30
 
大阪に転居したとき、子供が欲しかった私は、利佐子に、常用していたピルの
服用をやめるように頼みました。五月二十日、八重山警察署の事情聴取で、警
察官から利佐子がピルを所持していたと聞いたとき、気が動転し、知っていたと、
強がりを言った覚えがあります。そのときの、なんともいえない複雑な気持ちは、
しばらく続きました。その気持ちが薄れていったのは、利佐子の青森の実家で行
われた法事の席で、医師をしている利佐子の親戚の方が、タバコとピルと、心筋
梗塞との因果関係について話されたときです。

 
利佐子は、タバコを一日四十本ほど吸うヘビースモーカーでした。それに避妊
用ピルを長いこと常用しています。その医師の方は、「三十歳代の女性の心筋梗
塞になる率は、ヘビースモーカーがピルを常用していると、通常の七倍であるとい
う統計がある」 という主旨の話をしました。恭子もなつ江もタバコは吸いませんで
したが、私が銀座に飲みに行ったとき、ヘビースモーカーの女性は多く見かけて
いましたので、利佐子にタバコを控えるようには言えませんでした。せめて、ピル
の服用を続けていたことに気がつき、私がやめさせる努力をすべきだったと残念
に思います。

 
私の遊びとはなんだったのか、よく考えることがあります。銀座に飲みに行くこ
とは、女性の喜びの笑顔を見たい真剣な気持ちからで、遊びではありません。私
は五十一歳で逮捕されるまで、ソープランドをはじめとして金銭で女性の肉体を
買ったことは一度もありません。賭事としてのマージャン、競馬、競輪、競艇もした
ことは一度もありません。ゴルフもできません。パチンコは嫌いです。では、遊びと
はなんなのか、結論は、妻との旅行の楽しさ、それに尽きます。そのとき子供が加
わったら、遊びの楽しみは倍増したでしょう。私の三人の妻との子育てへのあこがれは、
それぞれ事情は違いますが成就し
ませんでした。子供欲しさからの非常識な行為は、
二度と行わないと心に誓い、
一か月ほどのちに、私は大阪市福島区の病院で
パイプカットをします。熟考して
の決断でしたが、子育てへのあこがれを捨て去るには、
寂しい痛みが伴いまし
た。
 
第三章       疑惑にまつわる問題の実際のすがた
 
 一 自署 『仕組まれた無期懲役』 の紹介
 
 『仕組まれた無期懲役』 の表題は、出版元の「株式会社かや書房」 (東京都
千代田区神田神保町一-二〇、電話〇三-三二九一-二六二〇)の経営者が
付けてくれました。。本書(定価二千円+税、三七九ページ) では「獄中記」 と呼
び表していますが、二〇〇一年の執筆中は表題が決まらず憂慮していました。二
〇〇二年六月に本書が出版され、私の手元に届いたとき、表題を見て私は感激
しました。表題が私の気持ちにぴったりだったのです。被告人の悔悟の実録は売
れますが、無実を主張する作品は売れないのが実情のようです。本書も例外で
はなく、私の無理なお願いを赤字覚悟で引き受けて下さった出版元には、多大な
負担をおかけしました。

 
本書は、上告趣意書および補充書での私の主張を要約し原審の判決に系統
的な反論を加え、拘置所での日々の生活と心境を物語って居ますが、いま記述し
ている当文書とはまた違った、書物に表したわかりやすさがあると思います。私が
本書を手にした時は、すでに受刑者として刑務所に収容されており、出版元とは
直接連絡が取れず、その後十年が経過しており、在庫の状況はわかりませんが
、興味のある方は購入してぜひお読みいただければ幸いです。
『仕組まれた無期懲役』 の原稿を書き上げた二〇〇二年の正月は、希望に満
たされて迎えました。本書の原稿を書きながら、上告趣意書を読み返していくうち
に、無罪以外にありえないと言う確信が強まったからです。

 上告審は五名の裁判
官で構成されるのが常ですが、私の事件を審理する第一
小法廷は、二年ほど前
から四名の裁判官で構成されていました。毎月十三日に、
最高裁判所から「拘留
延期決定通知」 という書類が届くのでわかります。一月
十三日の書類も四名連
記でしたので、審理が遅れているのはそれが原因かと思い、
決定はまだ先かと考
えていたところ、二月十三日の書類で五名になりました。
いよいよ審理が本格化
すると思っていた矢先、二月二十日付の「五名全員一致による」
という判決文が
届きます。私の上告趣意書を詳細に検討するには、相当の日数を要する
はずで
すが、一名の裁判官は充分な審理をせずに判決を下したと思います。最高裁判
所とはそういうところか、というのが私の判決への感想です。八十五万字に及ぶ
上告趣意書の私の主張の主旨は、原判決の事実誤認の指摘ですが、その主張
は歯牙にも掛けられず、法令違反がないとの決定が、わずか九行の判決理由に
表れていると、裁判に精通していない私は感じました。それから七日後の二月二
十六日、懲役が執行されますが、本書の存在で希望に満ちた気持ちは失いませ
んでした。

 
上告趣意書を記述する過程で読んだ刑事訴訟の本に、「裁判官に読んでもら
うためには、簡潔でページは少ない方がいい」 と勧めていました。私は悩みまし
たが、上告趣意書は私の最大の武器ですので、調べたすべてを網羅して書き上
げました。それが上告審に災いしたことは否めませんが、現在ではよかったと思っ
てます。
上告趣意書が完成して最高裁判所に提出する前に、八十五万字に及ぶ長文
を克服する方法を検討しました。裁判官は、弁護人上告趣意書は、かならず目を
通すと聞いていましたので、弁護人上告趣意書で、私の上告趣意書での主張の
核心を捕らえて立証してもらうことが、逃すことができない方法です。その結果とし
て、最高裁判所の五名の裁判官は、私の上告趣意書を精査すると考えたのです。
二名の国選弁護人が選任され、先生方に私の上告趣意書を渡して、主張の
核心となる事項を説明し、先生方の上告趣意書に反映してくれるよう強く願望し
たのですが、たぶん、私の上告趣意書を、精査することは行わなかったのでしょ
う、反映してもらえませんでした。これで原審での闘いは終わり、懲役を受ける身
となります。

 
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