事実の証明

心残りのまま永眠した 神谷 力 氏の手記。 トリカブト事件を冤罪と断定し、 判決の矛盾を鋭く指摘する。
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 事実の証明-1  (2013/01/01(火) 00:01:00)
 
 事実の証明-1

 私の公判での闘いは、利佐子が服用したとされる、カプセルに詰められるトリカブト
毒の毒量の問題からはじまります。トリカブト毒は、経口的にそのまま摂取すれば、苦
みを伴う強いひりひりした刺激があり、とても耐えられないとのことですから、検察官
は、利佐子はカプセルで服用したと推認します。利佐子がトリカブト毒を服用したと仮
定すれば、この推認に私は異議はありません。

 私が購入したカプセルで最も大きい物は、パボランカプセルの、容量0.六七mlの
白いカプセルです。利佐子が服用したと仮定すれば、この白いカプセルに、トリカブト
毒を含む水飴状物質を詰めて服用したことになります。利佐子の保存血液から検出
されたトリカブト毒の毒量は、体重で換算して約五,九mgです。この毒量が白いカプ
セルに詰められるか、が争点です。この問題では、東北大学のM教授が、鑑定結果
の違う三種類の鑑定書を提出しています。

 最初の鑑定書は、一九九二年五月、第九回公判で提出されたもので、警視庁捜査
一課のY警部補が、専門家の指導で、白川産トリカブトの乾燥根2.2gからメタノー
ルで抽出・濃縮した水飴状物質を鑑定した結果です。鑑定結果は、「乾燥根1g当たり、
水飴状物質の収量は〇.一gです」

 二回目の鑑定は、一九九四年一月に提出された「共同鑑定書」に記載されていま
す。白川産トリカブトの根塊三十一個を、一個ごとにメタノールで抽出.濃縮した水飴
状物質を鑑定した結果です。各個の鑑定結果を平均すると、「乾燥根1g当たり、水飴
状物質の収量は約〇.二三g、それに含まれる毒量は二.六mgです」

 三回目の鑑定書は、一九六四年二月、第二八回公判で提出された物で、最初と同
じY警部補が、白川産トリカブトの生根約一〇〇gからエタノールで抽出.濃縮した水
飴状物質を鑑定した結果です。生根一〇〇gを乾燥させると、約三〇gの乾燥根にな
るとの証言があります。それで換算すると、鑑定の結果は、「乾燥根1g当たり、水飴
状物質の収量は約〇,〇四七g、それに含まれる毒量は約三,六mgです。

 最初の鑑定書が提出された第九回公判で、鑑定結果から、致死量の二mgを含む
水飴状物質が、白いカプセルに詰められるか、私は計算してみました。計算では、カ
プセルが九個以上必要です。公判はすでに九回を経過して、いろいろと調べたいこと
があるのですが、鑑定書や証人尋問調書が私の手元に一冊もなく、検察官の主張に
適切な反論ができません。カプセルが九個以上必要だという結果は、私の悔しさを検
察官にぶつける強力な武器となります。この時点から、利佐子が服用したとされるトリ
カブト毒とフグ毒が、白いカプセルに詰められるのかという問題が、服用から発症まで
約二時間の問題とともに、私の非常に重要な事項となります。

 二回目の鑑定書が提出されたときには、必要最小限度の六冊の鑑定書と九冊の
証人尋問調書が手元にありました。年金で生活している八四歳になる父にコピー代
の借用を申し込み、快い返事を受けて、弁護人にコピーをお願いし、一九九三年一一
月に届いたのです。これらの資料から、二回目の鑑定結果でも、利佐子の体内総毒
量を含む水飴状物質が、白いカプセルに詰め切れないことを明らかにできました。
三回目の鑑定書が提出されたとき、私は挫折感を味わいます。三回目の鑑定結果で
は、容量〇,七mlの二号カプセルに、トリカブトの致死量の約二七倍詰められている
のです。これがが事実なら反論の余地はありません。

 私は第三十回公判で、東北大学M教授に三つの鑑定結果の相違について詳細に
質問しますが、M教授は曖昧な答弁に終始します。
白いカプセルには、フグ毒も詰めなければならないのですが、フグ毒については、
クサフグの肝臓からアルコールで抽出・濃縮したどろどろ状物質の収量や、それに含
まれる毒量の、鑑定および証言は一切なく、私が問題にしたくても、この件に関する
鑑定および証言は一切なくその糸口がつかめません。この件に関する鑑定の申請を、
弁護人に依頼しようと検討しているうちに、事実審理が結審すると知らされて、果たせ
ませんでした。

 利佐子が病死でなく中毒死であるとすれば、私が毒物を利佐子に服用させるには、
友人たちと落ち合う午前十一時二十分以前に済ませておかなければなりません。航
空機が延着したのは予想外であって、定刻に到着することを前提として行動してい
たからです。利佐子の保存血液からトリカブト毒が検出されたと証言されるまで、
殺人疑惑と騒がれても、私には毒物の特定はできませんでした。服用してから何の
異常も示さず、約二時間後に突然吐き気をもよおして、発症するような毒物の存在
は、私の知識では皆無です。この疑問には、殺人疑惑を騒いだマスコミも答えてい
ません。私が逮捕されることはないと確信していたのは、これが原因です。

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