事実の証明

心残りのまま永眠した 神谷 力 氏の手記。 トリカブト事件を冤罪と断定し、 判決の矛盾を鋭く指摘する。
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全文-20 (2013/02/06(水) 19:31:18)
2012.01.26

 全文-20

 トリカブト毒およびフグ毒を、トリカブトの塊根およびクサフグの肝臓から抽出するに
は、エタノールまたはメタノールを溶媒として使用します。この抽出方法では、アルコ
ールに溶けるほとんどのものが抽出されます。抽出物を含む溶媒のアルコールは液
状ですから蒸留してアルコールを分離しなければなりません。蒸留には例えばヘアー
ドライヤーでもできますが、エバポレーターを使用すると効率的です。この作業を
「濃縮」 すると言います。濃縮した濃縮物は、ヘアードライヤーを使用しても、エバポ
レーターを使用しても同じ濃縮物です。トリカブトの場合は水飴状物質、クサフグの場
合はどろどろ状物質です。エバポレーターを使用したから濃縮物に含まれる毒量が増
える、ということは絶対にありません。アルコールによる抽出と、エバポレーターによる
濃縮は、このような作業をいいます。

 この作業で、トリカブト、クサフグ、エバポレーター、エタノール、メタノールの五種の
購入品を使用します。検察官は、この「抽出」 「濃縮」 そしてその濃縮物の保存を、
先ほど述べたように、私がコーポTと転居後のアパートTで行っていたと主張します。
そこで、この作業によって得られる、トリカブトの塊根とクサフグの肝臓からの、濃縮
物の収量に注目しなければなりません。

 私がマンションのベランダで栽培したときの経験では、トリカブトの塊根は、大きめの
物でも三〇gほどでした。これは生根の毒量です。生根を乾燥させて乾燥根にすると、重量が
約三〇%になると証言されてますから、乾燥根にすると約一〇gです。

 東北大学のM教授は、水飴状物質の比重について証言しています。

 普通、こういった物から抽出した場合の比重が、一より極めて大きいとか、極めて小さいということは、
あまり考えられないので、それを水溶液と置き換えても重量に大きな差はでないと考える。


 東北大学三教授の共同鑑定書では、三一個の塊根の鑑定結果を含めたこれまで
の経験によると、「水飴状物質の収量は、乾燥根一g当たり平均で約二二五mg」 と
記載されています。右(上)囲みのM教授の証言は、水飴状物質の比重は約一gとい
うことを表していますから、「水飴状物質の収量は、乾燥根一g当たり平均で約〇、二二五cc」
となります。私が購入したトリカブトの鉢植えは、検察官の主張では六二鉢です。一鉢で塊根は
一個ですから、約一〇gの乾燥根が六二個取れます。重量で約六二〇g、乾燥根一g
当たり平均で約〇,二二五CCですから、鉢植え六二鉢では、約一三九・五CCとなります。

 検察官は、私が抽出・濃縮した水飴状物質を、密閉ガラス瓶で保存していたと主張
します。確かに、保存していた形態と目的は違いますが、私が所持していた密閉ガラ
ス瓶(二〇〇CC入りと五〇〇CC入りの二種類) の一個から、トリカブト毒が検出さ
れました。検察官の主張する抽出・濃縮が事実と仮定すれば、六二鉢の塊根すべて
を抽出・濃縮し水飴状物質にしても、一三九、五CCですから、密閉ガラス瓶一個に入ります。

 検察官は、この水飴状物質で、マウスを使用し、なつ江を利用して、効能実験を行
い、完成させて、カプセルに詰め、利佐子に服用させて殺害し、その後も保管してい
たと主張します。この主張から当然のこととして、水飴状物質を保存した密閉ガラス瓶
は一個であるということが結論づけられます。この事件の核心の一つですが、詳しく
は第四章で説明いたします。

 クサフグの肝臓からアルコールで抽出・濃縮した濃縮物がどろどろ状物質になると
いう証言はありますが、その収量については鑑定も証言もありません。東京大学N講
師は、クサフグの肝臓等約一〇gに二mg(ヒトの致死量)のフグ毒を含むと証言しています。
クサフグの肝臓から抽出・濃縮したどろどろ状物質の収量については推定してみる
以外ありません。トリカブトの乾燥根一gから水飴状物質が約二二五mg収量がある
ことを参考にすると、クサフグの肝臓一〇gからは、どろどろ状物質は二g程度収量が
あると推定できます。ただし、トリカブトは乾燥根ではなく生根(重量が乾燥根の約三
倍) と比較すべきだという考え方もありますし、クサフグの肝臓には血液や蛋白質も
多く含むから、もう少し多くなるという見方もできます。しかし私がココで問題にしたい
のは、仮に私がクサフグの肝臓からどろどろ状物質を抽出・濃縮したとして、その収量
を推定し、検察官の主張がいかに矛盾しているかを指摘するためですので、収量を
二gとしてもさほど問題ではありません。

 検察官は、クサフグの購入について、一年六か月に、六,七回にわたり、約一二〇
〇匹を購入し、抽出・濃縮を行ってどろどろ状物質を集め、マウスやなつ江で効能実
験を行い、利佐子に服用させたと主張します。「カプセルに詰めて」 と主張したかどう
かは、カプセルに詰められる量から問題ですが、私の記憶にありません。
私が扱った大量のクサフグから判断しますと、平均して体長は約一五センチ、重量
は三〇gぐらいです。料理実習のため捌いたの三〇センチほどの大型のもの六匹で
すが、重量は一〇〇gくらい、肝臓は、量っていませんが、二〇g程度はあったと思い
ます。このことから推定すると、私が扱った大量のクサフグの、平均した肝臓の重量
は、一匹五g程度でしょう。
一二〇〇匹購入したとすれば、それから取れる肝臓は六〇〇〇g、どろどろ状物質
の収量は一二〇〇gです。また、肝臓等約一〇gにヒトの致死量の二mgのフグ毒を
含むと証言されていますから、抽出効率が五〇%としても、三〇〇人のヒトを殺害で
きる量です。

 私が利佐子を殺害する目的でクサフグを購入するなら、これほど大量に購入する必
要はありません。M教授の証言から、どろどろ状物質も比重は約一と判断できますか
ら、一二〇〇gは一・二Lです。購入は三回目で済むものを、一,二Lもどろどろ状物
質を収集して、何に使うというのでしょうか。〇号カプセル(容量〇,六七mg) で
約二〇〇〇個分です。一度にではなく、一年六か月にかけて七回にわたり購入して
いるのです。この問題を、控訴審に至るまで私は取り上げましたが、検察官からは何
ら返答はありませんでした。

 検察官は、私がマウスを使用して、トリカブト毒とフグ毒の効能実験を行ったと主張
しました。ここで耐性ということを説明いたします。「耐性とは、細菌や生物が薬品など
に対して抵抗する力」 のことです。ここまでは辞典にも書いてあります。しかし、「トリ
カブト毒の耐性が、体重当たり、マウスはヒトの約五〇倍である」 と説明している参
考文献は、書店で探しても皆無です。検察官も探し出して法廷に提出することはでき
ませんでした。私が、この耐性のことを知ったのは、第一審裁判の公判での証言から
です。「フグ毒の耐性が、体重当たり、マウスはヒトの何倍になるか」 は未だに知りま
せん。

 このような事情のなかで、私がマウスを使用して、トリカブト毒とフグ毒を使用して、
トリカブト毒とフグ毒の効能実験ができるでしょうか。また、私には両毒の毒量を量る
ことは不可能です。例えば、水飴状物質を少しずつ量を増やしながらマウスに投与し
て、E量でマウスが死に至ったとします。E量の毒量は量れません。マウスの体重は
三〇gです。そこで、六〇kgのひとの致死量を体重で換算して、E量の二〇〇〇倍と
特定します。しかし実際には、耐性を考慮に入れて、E量の四〇倍としなければなりま
せん。これをヒトの致死量2mgから逆算しますと、マウスの耐性を五〇倍として、E量
は〇,〇五mgとなります。しかし耐性が五〇倍であることを知らないと、ヒトの致死量
を一〇〇mgと計算してしまうのです。フグ毒についても同じことが言えます。結局、効
能実験では、マウスについては、致死に至る毒性があることがわかるだけで、検察官
が主張する、ヒトについての効能など何もわかりません。


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